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導火(4)(連載)

かたり、と音がした。それはあの本が落ちた音によく似ているように思われた。
だがすぐにかたかた、とむずかるようにその音は続き、瞬きを数回する程度の時間が立つともたれていたロボットが振動しているのが明らかになった。
「電源切ったのに」
「……でかいもの吸い込んで壊れたんじゃねえの」
最悪の予想が二人の頭を過ぎる。
ロボットの振動は徐々に激しさを増し、沸騰した圧力鍋にそっくりな不安をもたらした。
「さっきから電話してるんだろ?」
「うん。全然繋がらないけどね」
「……爆発したりしないよな?」
二人はそっとロボットから離れた。

始め気付かなかったのは形状のせいだろう。
はっきりと認識出来たのは落ちた銀杏の葉がとんでもない勢いで弾き飛ばされたからだった。
回転している。
ロボットが回転している。
これはただごとではないかもしれない。
備府に話かけようとした次の瞬間、ロボットが消えた。いや、視界の外に飛び出したのだった。
滑るようにそれは道の真ん中を走っていく。
「やばくねこれ」
「とりあえず追いかけよう」
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