スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

点火前(6)(連載)

「私、人をいじめるの好きなんだよ」
「備府君には同情しますね」
岡の伏せた睫毛の長さを目測する。
館長はカップの中身が冷めるのを待つことにした。
「君のこといじめるのには、誰の真似すればいいのかな?最近良く来るようになった、やたらガタイのいいあの人?」
岡は鼻で笑った。
「知ったふうな口を聞かないでください」
口調は台詞にそぐわない程度に柔らかい。
「一生懸命って、いいよねえ」
「あなたは違うんですか」
虚をつかれ、雲英は瞬いた。
「そう、だね……必死、のほうが近いかもね」

キムチ鍋でビールを大量に開け、堂仁と矢追はひっくり返っていた。
目を合わせ、どちらからともなく笑う。
「お前さ、言いたいことあんだろう」
堂仁の手がつい、と伸び、矢追の眼鏡を奪った。アルコールによって揺れていた視界は更に曖昧になり、堂仁の言葉とないまぜになって矢追は心許無さを覚える。
「え?」
「俺にじゃなくて、あいつにだよ」
眼鏡が返ってこないので、堂仁の顔が見えない。
そんなにわかりやすかっただろうか。まさか想いまで気取られていないだろうか。
「……言っちゃいけないことかも知れないんだよね」
堂仁は無言で立ち上がると冷蔵庫をあけて何かを取り出した。
「堂仁、眼鏡どこ?」
「ほら、デザート」
「いちじくか。今年は初めてだよ」
器に盛られた果物に顔を寄せ、矢追は言った。鼻孔を芳香が撫でる。
「で、眼鏡は?」
「無くした」
間髪を入れず堂仁は返す。
「ほら」
皮を向いた柔い果物を口元に差し出され、矢追は訝しげに堂仁の目を見ようとした。
「ほら、口開けろよ」
とうとう開いた下唇に甘い物が触れる。
歯を立てるまでもなく潰れる果肉は汁をこぼし、堂仁の指と矢追の顎を濡らすのだった。

5000ヒットありがとうございます!

いやーなんかもうフヘヘって感じです
一日くねくね歩き回りながら考えたのですが、特にいい考えが浮かびませんでした
なんかやって欲しいことあったらぜひリクエストしてください
具体的でなくても構わないのでぜひぜひ
お待ちしてます

清浄な上水に気分上々なジョー嬢

前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2010年11月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30