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部誌(中)

「……おうふ」
備府がやっとのことで絞り出した声に、来野ははじかれたように立ち上がった。
「え、えっと……」
言葉に詰まり、意味もなく手を振り回し右往左往している。
「とり、とりあえず座ってください、うん、どうぞ」
「は、はい」
備府は三和土で靴を脱いで畳にあがった。どちらからともなく正座になる。
「あの、ふ、普段はあんなんじゃないんですよ」
「あ、そ、そうなんですか」
「そうですそうです。どちらかと言うと、クールな感じの人なんです!」
「つ、つまり、そのクールな彼があのようになってしまうほどの原因が俺にあるというわけですね!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ごめん!」
勢いよく来野は頭を下げた。
「いや、謝ることねえよ!……俺が悪いんだし」
「備府はなんもしてないって!大体ろくに話したことないじゃん!」
「ろくに話したことなくても嫌われることはあるのさ……あ、なんか忘れていた過去がよみがえってきそう」
「し、しっかりしろ備府!きっとあれだ、堂仁最近機嫌悪かったし、やつあたり……じゃ、ない、だろうな……」
「……」
「ほんとどうしたんだあいつ……」
「やっぱり俺が気に入らねえんだろうな!よくあることだし」
来野は途方にくれた。備府は遠い目をして枯れた畳をむしっている。
「ストップ」
手を掴んで止めると、備府はみるみるうちに真っ赤になった。さかさかと後退り、部誌の山に激突する。
「うわっ」
「危ない!」
紐で束ねた部誌と、部誌が入っていた段ボール、長年ため込んだ資料などが崩れて次々と落ちてくる。
「いってえ……」
「備府、備府、大丈夫か?」
惨々たる有様だった。備府は下敷きになっていて膝から先しか見えない。埋まった自分の足を無理矢理引き抜きながら来野は泣きたい気分になる。
「やべぇ……動けね……」
「待ってろ!今助けるから!」
バタン!
「今の何の音!?」
キャー!と悲鳴が上る。隣りの遊戯研究会の人が様子を見に来たらしい。
「人が埋まってるんです!手を貸してください!」
「う、うん!ちょっと待って!」
必死に来野は備府を掘り出しにかかるが、周りも部誌で埋もれている上にくずれかけの山がいくつもある。
「大丈夫か!」
数人が駆け込んでくる。部室の惨状を見て一瞬あっけにとられた。
「この下に人が埋まってる!山が崩れないように廊下に運び出してください!」
自分が下手に動くと二次災害になりかねない。さっき足を抜いた時崩れる可能性だってあったのだ。来野の血の気が引いた。
「備府、今すぐ助けるからな!」
「くるし……」
「備府!しっかり!」

案外あっさりと備府は掘り出された。ぐったりとしている。
「備府、どこか痛いところは?」
「あっちこっち……」
「めまいとか吐き気はしない?」
「しないです……ってうわああああ!」
備府はむくりと起き上がり、来野とその後ろの人々に土下座した。
「ご、ごめんなさい!こんな、こんなことになって申し訳ありません!本当にすみません」
「備府!そんなんしなくていいから!」
来野は慌てて備府を引きずり起こした。
「で、できたばっかりの部誌にこんなこと……来野は悪くないんです…俺が、ぶ、ぶつかったから」
「気にしなくていいから!そうだほら、紐ほどく前だったからそんなに傷んでないし!」
遠巻きに見守る人垣から穂江が歩み寄って来た。
「今は考えなくていいから。頭打ってるし、念の為に病院に行きましょう。検査して問題なければ素敵な笑い話になるわよ」
もうすぐ矢追君もくるわ。
その言葉を聞いた途端、備府は顔色を変えた。

コンビニで

知らないおじさまが「ゆでたまごとちくわどっちにしたらいいですかな?」と私にQTK(急に 問い掛けて きたので)
「両方買ったらいいんじゃないですかな?」と答えたところ、すこぶるお気に召したようでした
「兄ちゃん頭ええなあ、エクレア買ったる」と言ってくださったので豆乳プリンをごちそうになりました
美味しかったです
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