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絵本板を見学

してまいりました

スレ数も少なく、流れもゆっくりで非常に静かな板でした
「さく・え/ななし」という名無しでした

うろ覚えの絵本を捜索するスレがあったのですが、書き込みに静かな情熱が感じられました

女の子というよりはお姉さんな印象です


「おやつが食べたいな〜」スレが一番勢いがあります

魅惑的なヒップ

すらりと伸びた足がまたたまりません

ま た か

めしを……喰ってる!


……タイトル「献血」じゃん!なんで結局また食事シーンなんだよ!
(肝心の献血シーンがないのは私に経験がないからです)

来野はチャラ男成分配合のつもりで書いていましたが、一人称オレの痛い女の子でも面白いかも知れないと思いました
矢追は女性にはもう少し優しいような気がするのですが、昔馴染だったらこれぐらいのノリは有りではなかろうか

それにしても話が進まない
もうちょい仲良くならないことには矢追が単なるいい奴のままだ

献血(やおいとびっぷとライトノベル)

2限の社会学が終わり、大教室を出た。
呼ばれた気がして振り返ると、来野が手を振りながら駆け寄ってくる。
「矢追ぃなんか食いもん持ってない?金なくて飢え死にしそう」
またか、と矢追は苦笑いした。
「持ってません。そんだけ大声出せるなら問題ないだろ」
「ひどいわ矢追さん。本屋の魔力に逆らえる人間がこの世に存在すると思って?」
来野はシナをつくる。
「明らかに自業自得ですね」
何冊買ったのかは訊かなかった。どうせまた新刊を網羅したのだろう。
「昼飯は食堂?」
「うん。今日から新メニューが始まるから」
3号館を出て中庭を抜けて1号館へ向かう。
中庭には献血車が停まっていた。
「おっ見てみ」
来野が指す立看板には『ドーナツ』と言う文字がある。
「オレ今すごいこと思い付いたわ」
「なぜだろう、僕には君の考えていることが手にとるようにわかる。まもなくがっかりすることもわかる」
立看板には『3人組にはドーナツ3個進呈』と書いてある。
「甘いぞ矢追。オレの食欲を見くびってもらっては困る」
来野はキョロキョロとあたりを見渡すと急に走り出した。
顔が広いというのは自分にはない才能だ、と矢追は近くのベンチに座ろうとした。
「お待たせー」
予想外に戻って来るのが速い。
「おかえり」
来野は肩を抱くようにして来た人物を矢追に向かって押し出した。
「どうもこんにちわ」
黙ってうつむいたままの彼にとりあえず挨拶し、献血車に向かって歩き出していた来野の襟首を掴む。
「ぐえっ」
「ちょっと。紹介くらいしてよ」
「え?知らん人だよ」
「は?」
「ひまそうだったから今時間ありますか?って訊いて連れてきた」
「……時間あるって?」
「そういえばまだ返事聞いてないや」
矢追は眼鏡を外して拭いた。深々とため息をつき、眼鏡を掛け直す。
「あの、いきなりすいませんでした」
所在無げに立っている人物に向かって矢追は謝った。
まじまじと矢追を見ていた彼は我に返ったように首を横に振り、引きつった笑いを浮かべる。
「いや……大丈夫です」
「で、今暇?そんなに時間とらせないからさ、話だけでも聞いてってよ!損はさせない!ドーナツとか、興味ある?」
「なんの勧誘だよ」
「まああの看板見てもらえればわかると思うんだけど!オレは今ロミオがジュリエットを求めるようにドーナツが食べたいんだよね」
「お前刺されるぞ」
途方にくれた顔で彼は矢追と来野を交互に見ている。
「つまり、お暇でしたら献血にお付き合いいただけませんか?ってことです」
矢追が笑いかけると、彼はうなずいた。
「え?おっけー?」
「…はい」
「ほら見ろ矢追!オレは一目でいい奴を見分けられるんだよ!」
「いいからちゃんとお礼しなよ。ほんとありがとうございます」
「い、いや平気です」
断れなそうな奴を選んだだけだろう、そう思いながら矢追は献血車に向かった。

「やったードーナツだドーナツ」
これで今日は生き延びてやると意気込む来野に向かって矢追は自分の分のドーナツを放る。
「あげるよ」
「マジで?矢追さんってばちょーやさしー」
「優しいのは備府君でしょう。ごめんね?無理矢理付き合ってもらっちゃって」
備府は勢いよく首を横に振った。
「あ、あの、俺のもよかったら……」
差し出されたドーナツを来野はためらいなく受け取った。
「ありがとー」
「図々しいなお前」
「生きるためにはカロリーが必要なのよ!」
「カロリーにならない紙の束を買い込むのをやめたらどうかね?」
「あれは心のカロリーなの!」
そういえば、と矢追は備府を見る。
「備府君お昼済んでる?僕これから第一食堂行くけど一緒にどうかな」
「い、行きます!」
予想外の勢いに矢追はまばたきをした。
「じゃ、じゃあ行こうか」
「じゃあ一緒についてって席取りしてあげよう」
「タダでお茶飲みたいだけだろ」
「なぜバレたし」

来野と居ると知らず知らずに口数が増えている。気心の知れた仲というのはいいものだ、と矢追は思った。
振り返ると、後ろをついて来る備府が赤面している。

「どうしようかなー」
ショーケースの前で矢追は考え込む。
「備府君はどうする?」
「え」
「何食べたい?」
「え、ええと、同じもので」
「んー巨大ハンバーグと麻婆茄子で迷ってるんだよね」
「両方頼んで二人で分ければ?オレ先に行って席取っとくわ」
「はーい。……その発想はなかった……嫌じゃない?」
「ぜ、全然」
「よし決まりだ」
カウンター前の列に盆を持って並ぶ。
まとめて注文し、受け取って盆に乗せてレジに向かう。備府はぴったりと矢追の後ろをついてくる。
「矢追!こっちこっち」
来野が手を振り回していた。

「ねえ備府君、僕とどっかで会ったことない?」
向かいに座った備府の体が強張るのがわかった。目の前の半分ずつわけたハンバーグにはほとんど手をつけていない。
「や、矢追がナンパしてる……しかも今じゃギャグ漫画でしか見ないようなセリフで……」
「来野はちょっと黙っててね」
備府は一旦開いた口を閉じ、また開いた。
「納豆、あ、いや、じゃなくてティッシュを」
「やっぱり!さっきからそんな気がしてたんだよね」
「納豆?なんだー知り合いだったんだ」
来野は2個目のドーナツを頬張っている。
「うわー偶然だねー」
「そう、ですね」
「敬語じゃなくていいのに。一年?」
「二年…」
「オレらと一緒じゃん」
予鈴が鳴った。来野が湯呑みを呷る。
「やべっ次4号館だわ」
「あー僕もだ。備府君は?」
「3限はあいて…る」
「そっか!…そうだ、せっかくだからメアド交換しようよ」
「あ……ご、ごめん、電池切れてて」
「悪いけどオレ先に行くわ」
「了解。そしたら……」
矢追は手帳に走り書きすると破り取って備府に渡した。
「これ僕のアドレスね。メールして」
「はい……」
「…なんか顔色悪いよ?大丈夫?」
「はい…」
「じゃあ僕行くね。メール待ってるから」
後ろ髪を引かれる思いで矢追は4号館へ向かった。
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