きらきらひかる




「それ、楽しい?」
「楽しくはないな」

軽く答えて一目連が私に一瞥をくれる。
理科室は最早あいつのテリトリー。わけわからん実験器具ばかりが並んで奇天烈な色をした液体が飾られている。
阿呆か。そんなことしたって、実際には教師じゃないのに。
制服姿の私は怪訝な顔をしてそれを指摘しようとする。

「あのさ」
「ん?」
「……何でも、ない」

何が。変な奴。
そう言われて腹が少し立つけれど、私も指摘なんて出来る立場じゃなかった。
こんなくだらないママゴトを楽しんでいるのは、彼だけじゃない。

「……おい?」
「え」
「何考えてんだ。ホント変な奴」
「ナルシスト入ってる一目連にだけは言われたくない」
「煩い。別に良いだろ、実際見た目は良いんだから」
「うっわ、その発言が女子生徒から引かれる原因だね絶対」
「そうだな。でもそんなナルシストのとこに通い詰めてるからお前も他の生徒から距離置かれてるんだぜ?」

得意げな顔でそんなことを言われて、私は、

「知るか阿呆」

私は、一番上手な笑顔で返す。
私の日常。贋物でできた、脆くて脆い、人外らしくない日常。
今はただママゴトでも宝石のように煌いて。



きらきらひかる



2009.01.31//そんなの、お互いさまでしょう