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昨今の日本の資金循環の状況は、財政均衡主義というイデオロギーから見ると、確かに『許されざる環境』という話なのだろう。何しろ、政府がひたすら財政赤字を続け、負債を積み上げていっているのが一目でわかる。ここで疑問が一つ、わいてくるのだが、そもそも財政均衡主義を信条とする経済学では、なぜ民間企業が負債を増やすと決めつけて考えることができるのだろうか。
もちろん、経済学の世界では『セイの法則』が成立しているためである。つまり、モノやサービスは生産すれば、必ず消費、投資として購入される。供給が需要を創り出すという前提が成立しているならば、企業は投資をすると必ず儲かるという話になる。
儲かるのであれば、企業は家計が貯めこんだ貯金を借り入れ、設備投資に回し、経済を成長させてくれるだろう。わざわざ現在の日本のように、政府が資金不足状態となり、経済を下支えする必要はない。 とはいえ、現実に日本では企業の資金余剰状態が続いている。すなわち、企業が負債を増やしていない。
ではなぜ、デフレ下の日本では、企業が負債を増やさないのだろうか。もちろん、デフレ不況で国内の需要が不足し、設備投資を拡大する必要がないためである。
企業はあくまで『儲ける』ために、銀行から資金を借り入れ、設備拡大に投じるのだ。儲からない環境下では、企業経営者は設備投資の決断はできない。
企業経営者は、デフレ下において単純に『儲からないから、投資しない』だけなのだが、経済学は別の説明を持ってくる。いわゆる、クラウディングアウト理論である。 クラウディングアウトとは、『政府が国債を発行し、市中のお金を吸い上げ、金利が上昇するため、企業が投資しない』 という仮説である。 ところが、現実の日本では、バブル崩壊後に政府が負債を増やせば増やすほど、金利は低下していった。長期金利はバブル期の6%から、現在はわずか0.3%にまで下落してしまった。要するに、ユーロ諸国同様に、民間企業の資金需要が十分ではないため、政府が国債で資金調達しようとした際の金利が下がっているのだ。民間企業の資金需要が伸びないのは、単純に国内の仕事の量(需要)が足りないためだ。
それにもかかわらず、経済学や財政均衡主義は、 『政府が国債を発行するから、金利上昇で民間の負債が増えない。政府は緊縮財政を実施するべき』というドグマを延々と主張し続ける。


続きはまたいずれ(^_^)/~~