柴山:(前略)アメリカは社会的ダーウィニズムの風潮が強いんですね、進化を生み出すのは生存競争だというね。競争がなくなると進化が止まる。だから社会はつねに新陳代謝が必要だと考えていて、経済でも独占や寡占にアメリカ人は厳しいでしょう。アメリカの自由主義のベースには、そういう考え方がある。
中野:似たような話で、アメリカが建国してから50年しかたっていないころ、フランスの外交官にして思想家であるアレクシス・ド・トクヴィルが実地調査をして書いた『アメリカのデモクラシー』という本がありまして、彼はアメリカ人はとんでもない連中だと言っているんですね。(中略)ヨーロッパ人は船を頑丈につくり、何度も使うが、アメリカ人というのは船をこわれやすくつくっている。走らせて壊れたら、次をつくる。新陳代謝を好み、最初から船を壊れやすく、頑丈にはつくらないのだと。建国のころからそうなんですよ。
柴山:新自由主義というものを考えるとき、これが社会的ダーウィニズムと結びついているとも考える必要があると思う。彼らの考え方では、自由が大事というより、新陳代謝そのものが大事なんです。新陳代謝がないと進化が止まると考えるから。90年代に日本にも遅れてアメリカ式の新自由主義が入ってきたわけですが、そこでも新陳代謝ということが盛んに言われた。それが政治のほうに入っていって、これまでの仕組みをすべて壊していこうという構造改革になった。古いものを壊さないと新しくものが生まれない、という破壊的な気分がマスコミを中心に急に広がりましたね。


続きはまたいずれ(^_^)/~~