〜ゼーレファミリー・アジト〜
朔「出たいです」
春「駄目です」
朔「…出たいです」
春「駄目です」
朔「出ーたーいーでーすー!!」
春「何度言おうが駄目なものは駄目です。貴方にもしもの事があれば私達部下は旦那様…つまり先代のボスに顔向けできません。わかっていただけますね?」
朔「…春日や皆さんが、私を大切にしてくださっているのはわかります。でももう嫌なんです!ずっとずっとアジトから出られないのは!私はボスなのでしょう?だったら、外の世界を何一つ知らないというのはおかしいです!お父様が残してくれたこのファミリーを守るためにも、見聞を広める必要があるはずです!」
春「………確かに貴方はこのゼーレファミリーのボス。ですが、貴方自身が前に出る必要はございません。そういう場合は全て部下に命令し、貴方はただそれを後ろで眺めているだけでいいのです」
朔「…!?そう、ですか…春日にとって私は、そういう存在だったのですか……」
春「…姫?」
朔「…………(ダッ)」
春「姫っ…」
―スパーン!
春「痛っ…誰ですか、って吉備…?」
吉「……春日、あんた仕事や職務は完璧だけどこういう事に関しては本当に馬鹿よね」
春「なっ…」
吉「いい?あの子はここが大好きなのよ。生まれた時から私達を家族の様に慕って、大切だと思ってる。だからボスとして少しでも責任を果たそうと自分にしかできない事を頑張ってる、学ぼうとしてる。それなのに、ただ後ろから眺めているだけでいいって…あの子はお飾りの人形じゃない、ちゃんと心があるのよ」
春「…!」
吉「大体先代のボスは引き込もってるのは性に合わないって言ってバリバリ外に出てたじゃない。まぁお陰で私達も色々苦労したけど、それほど嫌じゃなかったでしょ?」
春「…しかし、姫にもしもの事があれば」
吉「あらやだ、仮にも姫は先代のボスの娘よ?そんな柔な訳ないじゃない。それに…姫の周りにいるのはこの私達よ。もし姫に手を出そうものなら…髪の毛一本残らせやしねぇよ」
春「…口調が戻ってますよ、吉備」
吉「あら失礼♪」
春「……旦那様が亡くなられて数年、私は姫の安全を第一に考えてきました。しかし守る事だけに固執し過ぎて、私は肝心の姫の気持ちをないがしろにしていたのかもしれません…いつまでも籠に閉じ込めている訳にはいきませんね」
吉「そうよ、あの子はもう15歳の女の子なんだから」
春「…………」
――――…
朔「グズッ…グズッ…」
―コンコン
吉「(ガチャ)姫〜ちょっと話が…あら?」
朔「き、吉備!?な、何か用ですか?(ゴシゴシ)」
吉「ごめんなさいね勝手に入って。でも、泣くなら皆の前で泣きなさいな」
朔「…?」
――――…
朔「…ほ、本当にいいんですか!?」
春「はい、姫の外出を許可します。ただしその際は幹部を一人護衛として同行させ、部下数名も近場に待機させます。これなら仮に敵に襲われても対処できますし、迷子になる心配もないでしょう……先の事は、私の失言でした。これでは本当に、旦那様に顔向けできませんね…大変申し訳ありません」
朔「春日…いいえ、春日はボスとして未熟な私の代わりにこのファミリーの為に動いてくれているのに、私はわがままばかり…謝らなければいけないのは私の方です。本当にごめんなさい……そして、いつもありがとう」
春「…!そのお言葉だけで充分です姫、どうか顔をお上げください」
朔「でも…」
吉「はいはい、そこまでにしましょ。せっかく許可が出たんだから、早く出ないともったいないわよ」
薙「というか姫、そのカッコで出る気?色々目立つぜー?」
吉「大丈夫よ、さっき私が姫に似合う一般的な服を買ってきたから」
薙「行動早っ」
真「…ママ、僕も朔姉とお出かけしたい」
磯「俺も俺も!だからさ、今日は皆で出かけねぇ?」
薙「えーダル…」
吉「あらいいわね、そうしましょうか(ギリギリギリ)」←薙の頬を引っ張る
薙「いででででで!!」
真「パパも、行こう?」
春「…私は」
磯「朔耶も春日さんと行きたいよな?」
朔「はい!行きたいです!」
春「姫…」
朔「春日も私の大切な家族です、お留守番になんかさせませんよ?……さぁ、外に出かけましょう!」
――――…
…という訳で朔耶が外出自由になりましたー!
お、お待たせしてしまって本当に申し訳ありません(土下座)
最初はあのまま朔耶が家出して大騒ぎになる、というのを予定してましたがものすごく長くなりそうだったので変更しました。頭の中で考えながら書いてるのでそういうのは多々あります←
…誰か上手い時間の使い方を教えてください(殴)