脚本家・宍戸英紀に第39回城戸賞をもたらした『クロス』が映画化され、7/1から東京・渋谷のユーロスペースで公開されることがわかった。同作は劇場公開に先立ち、沖縄県で開催中の[島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭]で4/21、那覇・桜坂劇場でワールドプレミア上映されることも発表された。

残酷なまでに人間の心の淵を描き出すため「映像化不可能」と言われてきた同作の映画化に挑んだのは、映画プロデューサーの奥山和由氏と[蝉しぐれ]で日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞した釘宮慎治の2人。共同でメガホンをとった意欲作で、ジャーナリストによって過去の「集団リンチ殺人事件」の加害者の現在が暴かれたことをきっかけに、過去の2つの殺人事件が絡み合う官能サスペンス映画だ。

贖罪の日々を送る主人公の真理子役に、廣木隆一監督の[甥の一生]などに出演の紺野千春。愛する人の妻を殺してしまった過去に苦悩する女性という難役に挑んだ紺野サンは、これまでに[青春☆金属バット][プルコギ][オーファーザー]など、話題作に多く出演している。真理子に敵意を剥き出しにする知佳役にシンガーで女優のSharo、知佳の夫・孝史役に山中聡がキャスティング。ちすん、秋本奈緒美、斎藤工も共演者に名を連ねている。脚本は『クロス』で[第39回城戸賞]を受賞した宍戸英紀が手掛けた。音楽は、“和製スティービー・ワンダー”の異名を持つ盲目のピアニスト木下航志が担当。


▽紺野千春コメント
映画「クロス」が、沖縄国際映画祭という盛大で華やかな場に特別招待を受け、この作品に携わり多大なお力添えを頂いたスタッフキャストの皆様方、観て頂ける全ての方々に感謝申しあげます。十字架を背負った人間像を過剰に見せ過ぎず、日常に溶け込んでいて欲しいと言う監督の言葉を軸に撮影の間は主人公と重なり生きました。映画の中で流れる、木下航志さんの何処までも突き抜けていく美しい歌声に心癒されます。映画「クロス」を宜しく御願いいたします

▽木下航志コメント
『クロス』公開が決定してとても嬉しいです。
今回この話をいただいたとき、最初は全盲の私に映画音楽ができるのか不安でしたが、ストーリーを聞いた時から音楽が浮かんできました。この映画に音楽という形で携わる事ができ、新たな挑戦が出来たことは私にとって大きな財産になりました。
私は目で見る事は出来ませんが、残る感覚を研ぎ澄まして映画館で皆さんと一緒に映画『クロス』を観たいと思います!