こうなる気はしてた
なんとなくこうなる気はしてたよ。
でもさ、ジャンプじゃん?
期待しちゃうじゃん?
マンガじゃん?
わー!ってなりたいじゃん?
も……っ
やめて!及川さんやめたげて!そんな顔で睨まないで〜〜!!!
だって今後のキーマンになるって大林素子さんが言ってたんだもん!ジャンバンで言ってたんだもん!期待しちゃったんだもん!
すごい緊張!
コートに入ってから打つまで引っ張る引っ張る!
ページめくるのが怖いとかまじ勘弁!!!!
嶋田「サーブポジションに立った瞬間は、誰だろうとその試合の主役だ」
主役になれますか!?
忠は主役になれますか!!??(号泣)
頑張れ…!!!
頑張れ頑張れ!
頑張れ忠いぃぃぃ!!!!!!
ヘッポコでいい!
入ってえぇ〜〜〜!!!!!!
怖い…
でも―
自分も戦えるって
証明しろ!!!
山口の思い全てを込めたジャンプフローターサーブ。
ボールは相手の陣地に入る事もなく、ネットに引っかかり無情にも
落ちた。
月島の左横、トン、トン、と跳ね、ピッ、と笛が鳴らされた。
終わった。
皆の期待を一身に背負い、緊張と戦い、自身を奮い立たせ打ったジャンプフローターサーブは、威力を発揮する事もなく、自陣に落ち、彼の出番は終わった。
「山口!!!」
主将澤村に呼ばれて、山口はビクッと肩を跳ね上げた。恐る恐る振り返る。
怒られる、こんな大事な一本を外すなんて、ネットの向こう側さえも飛ばす事ができなかったなんて、謝らなくちゃ、期待に応えることができなかった、外した、失敗した、謝らなくちゃ、ちゃんと謝らなくちゃ。
「は……す、」
すみません、と言おうとして、だが澤村は最後まで聞かずに山口の言葉を遮った。
それは思いも寄らない言葉だった。
「次 決めろよ」
ぶわっ…!!!!
大地すゎああぁぁぁぁぁんん!!!!!!
嶋田「ピンチサーバーはそういう仕事なんだ…。その一本に試合の流れと自分のプライド全部乗っけてる。そんで忠は失敗した。
でも忠(アイツ)個人にとって、今ここで、悔しさと自分の無力さを知るチャンスがあることが絶対に忠(アイツ)を強くする」
しっ、嶋田さん…っ!うぐ…っ、嶋田さんっ!!! 忠を…っ、忠をよろしぐお願いじまずッ!!!
あなたの力が必要なんです!まだまだあなたの力が必要なんです!
これからもよろしくお願いじまずッ!!!バッ
あーーーー…………
泣いたわ〜〜〜……
超まじ泣いてるところです。(現在進行形)
まーでもさ〜、全日本の試合とかでもさ、ピンサー失敗とかあるあるだよね。
え?お前誰?みたいな奴が出てきてさ。
むしろ成功する方がすごくね?
あっさりレシーブされて速攻で取られるとか見た事あるよ。
結局さ〜……
ツッキー一言も喋んなかったね〜……。
やっぱアレかな、分かってたのかな、こうなるの。
それとも下手に声かけてプレッシャーかかるのを避けたのか。
ツッキー何考えてんのか分かんないよ〜。
でも、一番期待してたのはツッキーだと思うんだよね〜。
あいつだって人の子だろ?
「ツッキー」「ツッキー!」って尻尾振って懐いてくる友達がさ、ここ一番って時に引っ張り出されてさ、それでなんも感じないなんて、そんな事あるわけないデショ。
誰よりも期待してて、そんで誰よりも不安に思ってたはずなんだ。
次週、ツッキーに火がつくといいな〜。
そろそろエンジンかけていいんじゃないのツッキー?
山口があんだけ頑張ってんのに、いつまでもその態度はどうかと思うよ〜?(にやにや)