かつて別サイト運営時に無駄に推奨していたドマイナーCPシカマル×イタチのSSです。
需要無いですが、自家発電用にまたぼちぼち書いていこうと思います。
気が向いたら、旧サイト作品も転載しようかな…。
原作にかすってもない、とんでも妄想でも平気!という方のみ、追記よりご覧ください。
久々なのに、イタチさん出てこねえし。
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二次創作・歴史創作中心の短文を時々載せている腐女子向けブログです。現在、作品の移管作業中。 二次創作は、刀剣乱舞・戦国BASARA、デュラ!!、NARUTOなど。歴史創作は源平や奥州藤原氏などでわちゃってます。平清盛(2012大河)もあり。
かつて別サイト運営時に無駄に推奨していたドマイナーCPシカマル×イタチのSSです。
それは、何気なく、口にした言葉だった。ありふれて、時に社交辞令でさえある、そんな一言だ。
それなのに、ああ、よく晴れた空を見上げながら、のどかな春の途上でどうして自分はこんなに後悔しているんだろう。
【彼の情熱は死んでしまった】
昨春、妻をめとった友人に子ができた。祝いがてら顔を見に訪れると、友人は依然と変わらず、どこか気の抜けたしかめっ面で出迎えてくれた。気の強い、しっかり者の妻と、彼に似た赤子。
どこかで答えを確信できると油断したのが悪かったのかもしれない。
「子どもは可愛いさ。掛け値なしにな。あれもいい女だ。嫌いじゃない。」
それが、「幸せか」というサスケの問いに対する、奈良シカマルの答えだった。
でも「それだけ」。それだけだ。特別じゃない。
彼の言う可愛い子どもは、己の血を引いているからではなく、妻である女性の血を受けているがゆえ特別というのでもない。ただ、子ども一般が持つ脆さ、愛らしさ、守ってやるべき未熟さを兼ね備えているというだけの存在だ。
彼が、妻を大切に思っているのは間違いない。幸せにしてやりたいというのも嘘ではないのだろう。
けれど、それは彼の中で「いい女」とはそういうもので、「妻とめとらば責任をもって幸せにしてやらねばならない」と決まっているからだ。唯一無二として愛を注ぐのとは別物だ。
彼がそんなふうに考えていることは誰も知らない。彼自身も決して見せない。もしかすると、普段はその心の中にさえ、ないかもしれない酷薄な思想。
けれど、うちはサスケだけにはわかっていた。そしておそらく、彼、奈良シカマルもサスケだけがおおよその真相を悟っていることを察しているだろう。
何故、サスケにだけわかるのか。答えは簡単だ。
彼だけが知っている。シカマルが生涯をささげて愛した人間が誰であるのかを。その人間がどういう人で、何を思い、何を成し、何を遺し、死んでいったのかを。その人が命を懸けて守ったのが、弟である己であり、シカマルはそのことを苦く思いながらも、亡き恋人の遺志として絶対に扱っているということも。
彼の人は、自分の兄だ。家族を思い、共同体を思い、守り抜いて逝った。だから、彼は今、自身もまたそれらを守ることを役目と重んじている。(もっとも、7代目と旧知の友人だという要素もあろうが。)
シカマルが妻との子を、己の子だからという理由で愛するはずがないと確信するのは、男である兄との間には子が成せるはずもなかったからだ。
(気が狂いそうだ。)
己だけが知っている、おぞましい真実に、時折、サスケは背筋が凍る思いがする。
忘れて生きることが出来ない。それは、己も同じだ。妻を娶り子をなしても消えぬ過去はある。けれど、流れゆく日々の中で、ささやかな幸福の中でふと忘却したかに思える瞬間くらいはある。
家族を失い、己を失った満身創痍の自分でさえ、その安らぎはあるのに。彼には、それがない。
許さぬまま、悟り、考え、先に歩んでゆく。
その恐ろしい迄の理知は、いまや、亡きあの人をも凌駕している。本人さえも芝居と気づかぬような芝居を、完璧に、生涯演じ切るというのだろうか。
それはなにやら、サスケの一族の祖が望んだ、完璧なる幻術の世界に似ていた。けれど、彼は他人をそこへ巻き込むつもりはない。だから許されているのだ。(きっとそれも計算のうちなのだろうが。)
きっと、彼はもうとっくに、狂っているのかもしれない。
けれど、それは誰しらぬことだ。知らぬことはなかったことになる。それがこの世の習いである限り、木の葉の里は今日も日々之平穏なり、で間違いない。
サスケは大きく息を吐いて、空を見上げた。その仕草は皮肉にも、彼がよくする仕草に似ていた。
遠く広がる薄青に黒い影がクルリと舞う。ちっぽけな世界だ。螺子一つ抜けているくらいどうってことない世界だ。それが残酷だというのなら、この世界は端っから残酷であふれている。
(ならばきっと、このままでいいのだ。)
そう思うくらいは許したまえと、誰にともなく、サスケは祈った。
性 別 | 女性 |
年 齢 | 38 |
誕生日 | 10月24日 |
地 域 | 東京都 |
系 統 | アキバ系 |
血液型 | B型 |