「デジタルゲートオープン!選ばれし子供出動!」
京の言葉を合図に美月達はデジタルワールドに向かった。
「お、来た来た。」
はじまりの街へ行くと、流司が既に待っていた。
「初めまして、涼宮流司だ。パートナーデジモンはコロナモン。よろしくな。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
「で、ここにはいないけどデジタル庁の宮森さんから連絡。
今のところ、まだ他のオリンポス十二神族の行方はわからずだってさ。」
「そっか………まだ見つからないんですね。」
「皆さん、お待たせしました。」
大木からオファニモンが降りてきた。その後ろからはオメガモンとデュークモンが現れた。
「初めまして。私はオファニモンと申します。」
「ご丁寧にどうもありがとうございます。」
一通り自己紹介を済ませたところで美月達は本題に入ることにした。
「状況を整理しましょう。
ユクドラシルは今のところ、デジタルワールドが支配されるのを恐れて
ロイヤルナイツに指示を出していますが人間界まで関与する気はないようです。」
「それに対し、オリンポス十二神族は
人間界をも守ろうとしているということでよろしいでしょうか?」
光士郎の言葉にオファニモンはええ、と頷いた。
「それに七大魔王のところにはオグドモンがいます。」
「オグドモン?」
「デジタルワールドのすべての罪を内包し、
さらにすべての罪を贖罪する力を持つと言われているデジモンです。
クリスタルに閉じ込めたものの、七大魔王はオグドモンの封印を解くことを目標としているでしょう。」
「……………何とかしてそれだけは止めないとな。」
流司の言葉にコロナモンはうん、と頷いた。
「何にせよ、宮森さんって言う協力者もいるのなら残りのオリンポス十二神族については
宮森さんに任せよう。
俺達は闇の勢力と戦うだけだ。」
太一の言葉にアグモンはそうだねえ、と言った。
続く。
「……………マジか?」
「マジよ。嘘をついてどうなるの?」
「これはめでたいな。婚姻届けを早めに出さなければ。」
「そうね。早めに出しちゃいましょうか。」
とある夏の日のこと。
美穂は綾人におめでたを告げた。
「そうか……私はパパになるんだな…………。
お義父さん達には?」
「これからよ。きっと喜ぶでしょうね。」
「ああ、間違いなく喜ぶさ。」
「式も挙げなければなぁ……………。」
「どうせなら、おばあちゃんが着ていた花嫁衣裳を着たいわ。
お腹がパンパンになる前に。」
「そうだな。いや、そうかそうか………。」
美穂のお腹に手を当てて、綾人はこの上ないぐらいの幸せな表情をした。
「…………絶対幸せにするから、元気に生まれてくるんだぞ。」
「あら、頑張って産むのは私の仕事よ。」
「………む、そうだな。」
「………そうかそうか、おめでたか!よくやったぞ、美穂!」
美穂から連絡を受けた孝一はひゃっほー、と喜んだ。
「父ちゃん、喜びすぎ。」
「あら、颯太だって喜んでいるじゃない。」
「いやだって、家族ができるんだろ?すげー、嬉しいよ。
男の子かな?女の子かな?」
「どちらにしても初孫になるもの、楽しみだわぁ……………。
さて、結婚式の準備をしなくちゃね。」
「そうだな、誰を呼ぼうか………………。」
続く。
「芳樹さん、どうですか?この浴衣、似合っています?」
くるり、と一回転をした満月に芳樹はうんと言った。
「似合っているよ、満月ちゃん。」
「芳樹さんも似合っていますよ。」
「ありがとう。」
初瀬神社で行われる夏祭りと花火大会に参加するため、2人は浴衣に着替えた。
「さて、じゃあ行くとしますか。」
「はい!」
2人は仲良く手を繋ぎ、初瀬神社に向かった。
屋台が並ぶ中、2人はりんご飴を食べたり、綿菓子を購入して楽しんだ。
「満月ちゃん、お腹大丈夫?」
「平気ですよ。小さい頃みたいに壊したりはしませんって。」
「なら、いいんだけど。満月ちゃんは無理をするから。」
「心配性ですね、芳樹さん。」
「そりゃ、心配もするって。
お腹を壊して病院に搬送されかけたのは誰だったかなぁ、と。」
「もう、芳樹さん!」
ぷくぅ、とむくれる満月の頬を芳樹はつんつん、と突いた。
「あはは、むくれ顔も可愛いなぁ。
じゃあ、お姫様の御機嫌がこれ以上悪くならないよう色々買わないとね。」
終わり。
「ちょっと、美穂!」
「昨日、見たわよ!」
「見たって……………綾人と一緒にレストラン入るところを?」
こてん、と首を傾げる美穂に友人達はやっぱしかー、と叫んだ。
「これでも付き合って半年は経過したんだけど…………。」
「半年も付き合っているの!?」
「というか何であの姫宮グループの長兄と付き合うことになったの?」
「プロポーズされたのよ、公演が終わった後に。
綾人の一目惚れだったみたいで。」
のほほんと惚気話をする美穂に友人達はきぃぃ、と叫ぶ。
「おじいちゃんの葬儀さえなければ舞台観に行けれたのに………!」
「いやそもそもアンタじゃ無理だってば。」
「そりゃハートを射抜くのは無理だってわかっているけどー!」
すると、美穂のスマホに着信が鳴った。
「あら、芳樹君からだわ。どうしたのかしら?」
「ちょっと浮気!?」
「違うわよ、多分、満月ちゃん絡みだと思うんだけど。」
美穂はそう言うと電話に出た。
『………あ、みほおねえさまだ。』
「はぁい、満月ちゃん。どうしたの?」
『あのね、みほおねえさまとあやとおにいさまのにがおえをかいたの。
こんど、みてもらおうとおもって。』
「まあ、そのためだけにわざわざ電話をしてくれたの?ありがとう、嬉しいわ。」
にこにこと話をした後電話を切った美穂はうふふ、と笑った。
「妹が出来たらお姉ちゃんって呼ばれるのが夢だったんだけど叶って良かったわ。
お姉様、ですって。」
「良かったじゃん、美穂。」
「ええ、良かったわ。」
続く。
それは美穂が綾人と付き合い始めてから半年が経過した頃。
美穂の大学時代の友人達は居酒屋で飲んでいた。
「それにしても最近、美穂付き合い悪いわよね。」
「そうそう、独身女子の会にもめっきり参加しなくなったし。」
「彼氏でもできたかな?」
「まっさか、あの堅物に限って………。」
「でもさ、姫宮綾人さんのファンになったって言っていなかった?」
「ああ、おじいちゃんの葬儀があって見に行けなかった舞台の話ね………。
グッズをわんさか買ったって言っていたわー………。あー、見に行きたかった。
冠婚葬祭は仕方がないけどさー………タイミングってもんがあるでしょ!」
「そうよね、男との出会いもタイミングってもんがあるわよね!」
「ふっ、だから私達には良い出会いがないのよ…………。」
「それを言っちゃおしまいじゃない。」
和気藹々と話をしていると、友人の1人があ、と呟いた。
「ねぇ、あれって美穂じゃない?」
「え?」
「嘘、あ、ホントだ!」
「ね、隣にいるのって姫宮綾人じゃない!?」
「うっそぉ、何でぇ!?」
「………………。」
「どうかしたのか?」
「いえ、何ていうか友人達がこの近辺で飲むって話をしていたから、
目撃されてしまっているんじゃないかと思って。
まあ、でも隠す必要はないからいいのだけど。
気にしなくていいわ。」
「…………そうか。すまないな、なかなか時間が取れなくて。」
「いいの。こうして貴方と一緒の時間を過ごすだけでも嬉しいんだから。」
高級レストランに入る2人の姿を、友人達は呆然と見ていた。
「…………う、嘘でしょーーーーーーーーー!?」
「あの美穂が玉の輿に乗っちゃったーーーー!?」
「ありえなーーーーい!」
翌日になり、美穂は大学で友人達に問い詰められることになったのであった。
続く。