俳優の中川大志が、7/2から東京国立近代美術館で開催される『高畑勲展─日本のアニメーションに遺したものTakahataIsao: A Legend in JapaneseAnimation』(10/6まで)で音声ガイド(550円)のナレーターを務めることになった。
大志君は日本アニメーションの黎明期を描く連続テレビ小説【なつぞら;NHK】に坂場一久役で出演中。坂場一久は、なつが入社した東洋動画の演出助手。絵は描けないが、アニメの知識は人一倍多く、企画力に優れ、思いもよらないストーリーを考えつく。会話は常に理詰めで、なつも苦手意識がある。坂場のモデルは高畑監督ではないかとインターネット上で話題になっている。
音声ガイドでは、高畑監督と時代を共にした仲間たちのインタビューも交えて展示を案内。インタビューに登場するのは、大塚康生(アニメーター)、小田部羊一(アニメーター・キャラクターデザイナー)、友永和秀(監督、アニメーター)、男鹿和雄(美術家)、山本二三(美術家)(※敬称略)。
『高畑勲展』は、戦後の日本のアニメーションの基礎を築いた監督・高畑勲さん(1935〜2018年)の業績を総覧する初の回顧展。常に今日的なテーマを模索し、それにふさわしい新しい表現方法を徹底して追求した高畑さん。戦後の日本のアニメーションの礎を築くとともに、国内外の制作者にも大きな影響を与えてきた革新者・高畑さんの創造の軌跡と、絵を描かない高畑さんの「演出」というポイントに注目し、初監督作品[太陽の王子 ホルスの大冒険;'68]などにスポットを当てた1章、演出の秘密に迫る2章、[里山]というモチーフの展開に注目した3章、水彩画風の描法に挑んだ[かぐや姫の物語;'13]などにスポットを当てた4章で構成され、多数の制作ノートや絵コンテなど未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫っていく。
自身初となる音声ガイド、その収録を終えたばかりの大志君に感想を尋ねると「緊張しました。まずはお客様の邪魔にならないように、淡々と、だけどちゃんと情報が入ってくるように話すことを心掛けました。あまり自分の色が出過ぎると邪魔になっちゃうので、感情を入れすぎずにやったつもりです」と語りつつ「でも…」と続け、「今僕はアニメーションの演出家を演じているので、すごく感情移入してしまいました」と明かした。現在、NHK連続テレビ小説【なつぞら】で、日本のアニメ創成期に携わったアニメ演出家、坂場一久を演じている大志君。「読んでいると、高畑さんの言葉や抱えていた苦悩、想いの変化が自分の役とリンクして…。なんだか自分の人生を振り返っているような気持ちでした。ガイドのラストは特に…。今思い出すだけでも泣いちゃう。こんな気持ちになるとは思わなかったです」と、今だからこその想いがこもったガイドに仕上がりそうだ。
大志君が「高畑さんが信頼する人たちのことも知りました。高畑さんの無理難題とも言える強い想いに応える、叶える、それ以上のものを出す、そんな力強いメンバーに支えられて高畑さんの信念がカタチになったんだと思いました」と語るように、ガイドにはインタビューを収録。
[パンダコパンダ]などの作画監督・大塚康生や、[アルプスの少女ハイジ]などのキャラクターデザイン&作画監督・小田部羊一、[じゃりン子チエ]などの原画・友永和秀、[平成狸合戦ぽんぽこ]などの美術監督・男鹿和雄、[火垂るの墓]などの美術監督・山本二三の(本人音声)などのインタビューが楽しめる。今すぐ観返したい作品を尋ねれば[パンダコパンダ]と笑顔。「子供の頃、祖母の家で何度も観ていたので印象に残っていて。主題歌もすごく覚えているのですが、今回、あの歌は高畑さんが“子供たちが歌える主題歌”を目指したというエピソードもありました。今改めて観たいなと思います」
「せっかく音声ガイドを借りてくれたお客様ですから、これはもう(自分と同じように)泣かせたい(笑)。高畑さんの人生全部が詰まっていて、台本を読んで、僕自身が映画を1本観たような充実感がありました。それをお客様にも届けられたら」と大志君。
情報たっぷりの音声ガイドで『高畑勲展』をより楽しんで!